第368回談話会
論題 流さぬ精霊から他者を理解する ―大阪市内における精霊流しの供物と人々―
日時 2025年1月21日(火)18:30〜21:00
開催 キャンパスプラザ京都 5階 第1演習室 / オンライン(zoom)
(京都市下京区西洞院通塩小路下る東塩小路町939)
*京都市営地下鉄烏丸線、近鉄京都線、JR各線「京都駅」下車。徒歩5分。
報告者 堂本直貴氏(京都大学大学院文学研究科教務補佐員 / 文学部非常勤講師)
報告要旨
「精霊流し」とは、盆に帰還した祖霊の依代とされる供物や灯籠を最終日に河川や海洋に流し、そのことによって祖霊を他界へ送る意味をもつと理解されている。だが現代では、流さず、家庭ゴミとして回収・処理される場所も多い。大都市大阪においても同様である。注目すべきは、人々にとって「精霊流し」が供物を河川や海洋に流すのではなく、家庭のゴミ処理でもない方法によって、廃棄される行為と考えられていることだ。究極的には、この廃棄方法こそ「流す」ことであると考えられているふしもある。では、家庭ゴミの処理ではない方法で廃棄することなど可能なのか。大阪市内の形式を詳細に観察していくと、供物等の回収の空間が設定され、その場が地域住民組織などの地域集団に支えられ、それぞれの態様は異なっても宗教的な意匠をもった儀礼で演出されている。この「流さない」理由を、環境負荷への配慮、環境意識の向上、法令順守などに求めることは難くない。しかし単純に、流せなくなったものがゴミとして回収されているという結論でいいのだろうか。ならば儀礼が存在する意味が説明できない。ゆえに民俗学的な研究方法にたてば、地域によって異なる儀礼空間の形式を詳細に報告し、比較することかもしれない。だが、より重要なのは、こうした空間を必要とする人間(生者)と供物(死者)の関係のほうではないかと考えられる。談話会では、この精霊流しの複雑さを報告・検討したい。
参加方法
・【対面】会場に直接お越しください。参加登録は不要です。非会員の方は受付で参加費300円を頂戴いたします。
・【オンライン】会員の方のみオンライン参加が可能です。本談話会より、オンライン参加方法が変更となります。開催2日前(目安)に、会員全員にオンライン参加情報を送信します。オンラインアプリはzoomを使用します。なお参加希望者へのアプリ使用についてのサポートは行いません。