第369回談話会

論題 「当事者研究」と「オートエスノグラフィー」:誰が、誰のために、どんな研究をするのか?
日時 2025年2月21日(金)18:30〜21:00
開催 キャンパスプラザ京都 5階 第5演習室 / オンライン(zoom)
(京都市下京区西洞院通塩小路下る東塩小路町939)
*京都市営地下鉄烏丸線、近鉄京都線、JR各線「京都駅」下車。徒歩5分。

報告者 大川ヘナン氏(大谷大学社会学部現代社会学科助教)

報告要旨

 本報告では、研究者としての「私」と当事者としての「私」が直面する自己矛盾を、オートエスノグラフィーという研究手法を通じてどのように乗り越え、研究活動を進めていくかを検討する。

 研究者が「客観性」を担保することは、研究の正当性を示す重要な要素である。しかし、当事者としての「私」が研究を行う際、「主観」を切り離すことは不可能であり、研究者である「私」が当事者である自分の主観を否定することは、一種の自己矛盾を引き起こす。他の研究者が短時間のインタビューを通じて私の経験をデータとして扱うことに問題がないとされる一方、私自身が30年以上にわたり生きてきた自分の人生を語ることが「適切ではない」とされるのは矛盾している。

 このような「当事者」と「研究者」の二項対立的な自己矛盾を乗り越える方法の一つが、オートエスノグラフィーである。この手法は単に主観を強調するだけでなく、知識のあり方そのものを問い直し、研究をコミュニケーションの営みに転換する可能性を持っている。

 本報告では、発表者自身の人生経験を振り返りつつ、研究過程で生じた葛藤や疑問、さらには「調査対象」として客観化される自分に対する違和感を通じて、研究のあり方そのものについて再考する。

参加方法
・【対面】会場に直接お越しください。参加登録は不要です。非会員の方は受付で参加費300円を頂戴いたします。
・【オンライン】会員の方のみオンライン参加が可能です。開催2日前(目安)に、会員全員にオンライン参加情報を送信します。オンラインアプリはzoomを使用します。なお参加希望者へのアプリ使用についてのサポートは行いません。