京都民俗学会は、京都を拠点として、民俗学を中心に、歴史学・人類学・地理学・社会学等を含めた学問情報を全国へ発信している学会組織です。
本学会は昭和57(1982)年に誕生しました。当時、京都在住の民俗学研究者や各大学の民俗学研究会のメンバーから、京都にも民俗学についての情報交換や研究発表を行い、かつ研究者相互の交流を深められるような恒久的な場がほしいとの声が上がり、それを受けて、当時の若手研究者たちが中心となって、京都大学名誉教授柴田實先生に協力を呼びかけて発足したのが本学会の前進である「京都民俗学談話会」です。昭和57年10月9日(土)に、京都大学会館において発足式兼第1回京都民俗学談話会が開催され、初代会長に就任された柴田實先生による、「京の民俗学ことはじめ」と題する記念講演が行なわれました。また、学会誌である『京都民俗』創刊号が、昭和59(1984)年2月に発刊されました。
その後京都民俗学談話会は徐々に会員も増え、毎月の例会、および年1回の研究大会を続けてきました。平成17(2005)年より、それまでの比較的自由な気風の研究会組織であった「京都民俗学談話会」を、「京都民俗学会」と名称変更し、正式な学会組織としての体制を整えました。これまで、月例会(談話会)計329回開催、年次研究大会計39回開 催、また学会誌『京都民俗』は第38号を刊行、会員数250名超という、地方学会としては大規模な組織として活発に活動を続けています。さらに近年は、春の卒業論文発表会と修士論文発表会を日本民俗学会との合同開催の形をとるなど、日本民俗学会の関西支部的な役割も担っています。
本学会の特徴の第1は、対象を狭義の民俗学に限定することなく、冒頭でも紹介しましたように、歴史学・人類学・地理学・社会学等の領域もカバーする学際的性格を有する点です。実際に会員の中には歴史学・人類学・社会学・地理学・宗教学、さらに水産学や家政学、建築学、人口学等を専門とする研究者、また海外在住の研究者もおられます。第2に、本学会は大学や博物館等に勤務する専門の研究者のみならず、公務員や小・中・高等学校の教員、また多くの一般市民の方や学生の方々にも会員になっていただいている点です。専門領域や立場、年令等にこだわることなく、民俗学に興味のある方ならだれでも会員になっていただけることも魅力のひとつです。第3に、「京都」という名称がついていることから、研究対象が京都に限定されると思われるかもしれませんが、これも冒頭で紹介しました通り、本学会の目的は「京都を研究すること」ではなく、さまざまな地域を含めた研究情報を「京都から発信してゆく」ことだと考えています。学会誌のバックナンバーをご覧いただければすぐにわかると思いますが、実際に、日本全国はもちろん、海外の地域を対象とした研究論文や調査報告もこれまで多く掲載されています。その意味では、京都を拠点として、世界を見つめる学会組織だといっても過言ではありません。
本学会の趣旨にご賛同いただけましたら、一人でも多くの方々が学会にご入会いただいて、学会メンバーとして活躍していただきたいと願っております。