第344回談話会
論題 絶滅したオオカミの物語―イギリス・アイルランド・日本
日時 2022年7月30日(土)15:00-17:00(予定)
開催 オンライン(zoom)
報告 志村真幸氏(南方熊楠顕彰会理事)
渡辺洋子氏(アイルランド伝承文学研究家)
報告要旨
イギリス、アイルランド、日本では、いずれも近代になってからオオカミが絶滅している。
一方で、オオカミを題材とした伝承や物語も無数にある。今回は、3つの視点から切りこんでみたい。
1. オオカミの絶滅は、イギリスにおいて人間に敵対的な大型動物がいなくなり、自然への支配が達成されたことを意味する。やがて興隆した動物愛護運動は、イギリスの政治的・文化的な優越性によって、世界中へ輸出されていく。現代の人間と自然/動物の関係性の原点が、ここに求められるのではないか。
2. 3ヶ国のいずれにおいても、オオカミが絶滅したあとになって多数の物語や研究が生まれる。また、「最後の一頭がいつどこで絶滅したか」に関心が集まる。「絶滅」という事態がひとびとの想像力や好奇心に与えた影響について分析する。
3. キリスト教圏には、広く人狼の伝承が存在する。これは人間がオオカミに化けるもので、その逆はありえない。ところが、アイルランドには例外的にオオカミが人間に化ける民話が分布する。日本にも「鍛冶屋の婆」など、オオカミが人間に化ける伝承が少なくない。こうした変身譚を、比較民俗学の手がかりにできないか考察する。
参加方法
・参加希望者は、7月27日(水)23:59までに会員あて告知メールに記載されている申し込みURLから申請して下さい。後日IDとパスワードをお送りします。
・参加者は原則として京都民俗学会会員のみとします。
・オンラインアプリはzoomを使用します。なお参加希望者へのアプリ使用についてのサポートは行いません。