第357回 「民俗学からみる無形文化遺産―民俗学実践フォーラム2023」
日時 2023年12月16日(土)13:30~17:00(予定)
開催 (一財)京都市職員厚生会職員会館かもがわ2F中会議室/オンライン(zoom)
趣旨
本企画は、日本において多様な尺度の併存する伝統文化の保存制度について、広義の無形文化遺産(intangible cultural heritage、以降IHCと略す)として整理する。そして実務現場にかかわる報告を通して、広義のIHCを対象とすることで浮上する検討課題や研究テーマについて討議する。
日本国内における伝統文化の保存制度は、文化財制度を発端として、ユネスコ世界無形文化遺産、日本遺産など異なる尺度の制度が併存している。これらの制度では、従来の文化財制度のように指定時に一定に文化を価値化する場合もあれば、日本遺産のように認定時に文化をストーリー化する場合もある。こうした制度の動向に対して、民俗学では文化財制度の批判的検証を中心に研究が蓄積されてきた。そのうえで近年では実務現場をふまえた潮流として、当事者たちに伝わる文化について、独自に遺産化する「地域遺産」制度や、個人・集団の視点から「シェア」する視点についても検討されている。
本企画においても、実務現場に沿って議論をおこなう。伝統文化の保存に関わる実務現場においては、たとえばユネスコ世界無形文化遺産の登録や民俗文化財の指定に際しては、準拠する法令、担当省庁と紐づきつつ案件ごとに個別の文化的特徴が定められている。そして指定後においても、当事者たちは法令の規程に沿いつつも新たな価値を創出したり、活用方法を模索したりしている。また実務者は、事務や調査研究を通して協働による持続可能な運営(ガバナンス)に携わっている。 こうした実務現場の事情をふまえ、本企画では伝統文化の保存に携わる実務そのものを、広義のICHに携わる民俗学の実践と位置づける。そして、実務に際して遭遇する諸問題を民俗学の見地から検討する。以上により本企画は、広義のICHの現場・実務・研究にまつわる情報共有、討議、研究課題の発掘を包括的に議論するフォーラムとして開催する。
13:30-13:45 | 趣旨説明 | 東城義則氏(立命館大学) |
13:45-15:40 | 報告① 滋賀県草津市における青花紙製造技術の保存・継承―民俗文化財の保存と協働― | 岡田裕美氏(草津宿街道交流館) |
報告② 協働によるテレビ番組コーナーの制作―「歴史文化財課 佐野さんの民具図鑑」の実践― | 佐野正晴氏(甲賀市歴史文化財課) | |
報告③ われわれはなにを守るのか:京の地蔵盆を事例として(仮) | 今中崇文氏(京都市文化財保護課) | |
報告④ IRCIによる研究活動の成果と課題 | 山本倫未氏(アジア太平洋無形文化遺産研究センター) | |
15:50-16:20 | コメント | ①後藤知美 氏(東京文化財研究所) ②村上忠喜 氏(京都産業大学) ③島村恭則 氏(関西学院大学) |
16:20-17:00 | 質疑応答 |
参加方法
■会員の方
・【対面参加】会場に直接お越しください。参加登録は不要です。
・【オンライン参加】会員の方のみご参加を申し受けます。12月13日(水)23:59までに会員宛てメールに記載されたエントリーフォームから申請してください。
■非会員の方
・【対面参加】会場に直接お越しください。受付で参加費300円を頂戴いたします。参加登録は不要です。