第366回談話会
論題 無形文化遺産における美術工芸品の価値 ―青海省黄南チベット族自治州同仁県における「レプコン芸術」を事例に―
日時 2024年10月16日(水)18:30〜20:50
開催 キャンパスプラザ京都 6階 第4講習室 / オンライン(zoom)
(京都市下京区西洞院通塩小路下る東塩小路町939)
*京都市営地下鉄烏丸線、近鉄京都線、JR各線「京都駅」下車。徒歩5分。
※今回は会場がいつもと異なりますのでご注意ください。
報告 喬旦加布(チョルテン・ジャブ)氏(青海民族大学蔵学院 / 京都大学人と社会の未来研究院)
報告要旨
中国青海省黄南チベット族自治州同仁県、すなわちチベット・Amdo(アムド)のレプコン地域では、チベットの歴史、仏教、文化と深く結びついたレプコン(熱貢)芸術と総称される美術工芸品が知られている。同仁県は、チベット仏教芸術の中心地として、何世代にもわたって栄えてきた。主に14~15世紀以来、レプコン地域のロンウグチュ(隆務川)の両側に点在しているセンゲション村やニェント村、ゴマル村、ガサル村、ワォッコル村などを中心として伝えられてきた。これらの村々は多数の工芸家を輩出し、インド、ネパール、中国内陸部などから新たな工芸技術を導入しながら、チベット仏教芸術の中心地として栄えた。現在でも、同地域の村々の男性の7~8割はなんらかの伝統芸術を継承する工芸職人である。農閑期に村人により制作されるレプコン芸術は、市場経済化が促進するにつれ重要な現金収入の源となっている。
近年、中国国内では内陸部の開発事業(西部大開発)や観光化政策が進んだ。またユネスコ世界無形文化遺産に登録されて以降、レプコン芸術の美術工芸品としての値段が高騰した。 しかしこれと同時に、反比例する形で、美術工芸品の質が下がるといった問題が出現している。そこで本報告では、「レプコン芸術」の形成と分布、タンカ制作の過程、さらには無形文化遺産への登録と登録後の動態から、ユネスコ世界無形文化遺産への登録によって生じた美術工芸品の価値の変動について検討する。
参加方法
・【対面】会場に直接お越しください。参加登録は不要です。非会員の方は受付で参加費300円を頂戴いたします。
・【オンライン】会員の方のみご参加を申し受けます。10月13日(日)23:59までに会員あて告知メールに記載されている申し込みURLから申請して下さい。後日IDとパスワードをお送りします。オンラインアプリはzoomを使用します。なお参加希望者へのアプリ使用についてのサポートは行いません。